機械を使わず、人間の感覚を大切に蔵元と杜氏が二人三脚で手造りする酒 それが古川酒造のこだわりです。
小さな酒蔵で、人の五感をもって行われる当酒造場の酒造りは、全ての工程において繊細な職人の感覚を必要とします。
何度やっても完成と呼べるものができない、それ故に面白い。
私達は幾度も経験と試行錯誤を重ね、「いつ、どこで飲んでも本当に旨い酒」を追求しています。
日本酒の味を大きく左右するのが「米」です。
古川酒造では地元滋賀県産の酒米「吟吹雪」「玉栄」「山田錦」、また滋賀県が開発した飯米「みずかがみ」を主に用いて酒造りをしています。
「本当に旨い酒」を造るため、契約農家様に栽培していただいた無農薬・化学肥料不使用の厳選された米を使います。
日本酒成分の80%を占める「水」もまた、酒の味に大きく関わります。 酒造りには仕込みに使う米の総重量のおよそ50倍もの水が必要で、厳しい基準を満たした良質の酒造用水を大量に確保できなければ日本酒をつくることはできません。 古川酒造は湖国ならではの立地を生かし、湖南アルプスから琵琶湖に注ぐきれいな伏流水を汲み上げて使っています。まろやかでうまみが強く、米の味を引き立てるお水です。
「一麹 二もと 三造り」 これは酒造りの工程の大切さを順に表した言葉です。
麹は日本酒の品質に大きな影響を与える大切なものです。
しかしながら麹造りは一番難しくて神経を使う作業でもあります。
冷ました蒸し米に麹菌の胞子を回してからは、厳格な温度管理が必要です。
菌子繁殖が始まるまでは温度が30℃を下回らないように、また発酵が始まれば温度が上がりすぎないように麹を手で返したり広げたり。
職人たちは麹室(こうじむろ)の中で昼夜を問わずこの作業を繰り返します。
現代では麹を機械で造ることも可能ですが、微生物と向き合い発酵の状態を感じとることが麹造りの醍醐味。古川酒造は酒造りにおいて最も重要なこの工程も、伝統的な製法を守り続けています。
「もと」とは、日本酒醸造の発酵のたねとなる「酒母(しゅぼ)」のことです。(酉へんに元で"もと")
糖質をアルコールに変化させる「酵母」を、蒸した米・麹・水を使って大量に培養したものを酒母と呼びます。この酒母に、麹、蒸米、水を加えていって醪(もろみ)となりますから、まさに「酒の母」なのです。
酒母造りには慎重な管理が必要です。職人が常に状態を確認しながら、櫂入れを行ったり、温度管理を行う必要があります。
泡のでかたや香りなど、様子を見ながら2週間から1ヶ月かかって育てられます。
「造り」とは、日本酒になる前段階である「醪(もろみ)」のことです。
酒母をタンクに入れ、麹、蒸米、水を加えて発酵させたものが醪で、このもろみがやがて原酒となります。
醪の出来がそのまま酒の風味につながるので、醪造りは非常に大切な工程です。
酒母の中に原料を入れる際は、酸度や酵母密度を大きく下げないために、全量ではなく3回に分けて入れていき、約3週間から1カ月かけて発酵させます。
素材、仕込みの他に日本酒の味を決める重要なポイントをご存じでしょうか。
それは「絞り」の工程です。
丁寧に育て上げた醪(もろみ)を、酒と酒粕に分離させる工程が「絞り」です。
古川酒造では「佐瀬式木槽絞り(させしききふねしぼり)」と呼ばれる方法を行なっております。
醪(もろみ)を手作業で布袋に1枚ずつ詰め、紐などは使用せず袋を織り込むだけで中身が漏れないようにし、「槽(ふね)」と呼ばれれる木製の槽に何重にも積み重ねると自然に絞り出されます。
槽に積み上げた布袋は何度も積替え、佐瀬式と呼ばれる圧搾機で時間をかけてゆっくり無理をせず絞ります。
この絞りの工程は大変な労力と時間がかかるため、この方法で絞りをする製造所はごくわずかです。
それでも当蔵がこの木槽しぼりにこだわる理由、それは
「本当に美味しいお酒を造りたい」
その一点に尽きます。
やさしく丁寧に絞り出すため旨みを損なわず、芳醇、旨口、いつ飲んでも旨いお酒が生まれます。
丁寧に絞り出したお酒は、瓶詰からラベル貼りまで全て手作業。
古川酒造では皆様に「美味しい・うまい」と言っていただけるお酒を生み出すために、手造りの良さを大切に丁寧にお酒を造っています。
皆さん喜んでもらえるお酒を造るには
どんなお酒を造ったらいいかなあと
毎年日々思案しています。